久しぶりのブログです。時間が経つのは早いなー。もう5月です。
薫風と日差しが気持ちのよい貴重な季節。大型連休中の仙台は比較的天候に恵まれ、休日を楽しめた方も多かったのではないでしょうか。
さて、アインベルクのGWは5/4(日) で終わりました。今年は7日間連続営業をし、たくさんのお客様にご利用いただきました。「開いててよかった~」と言っていただけたのは本当に嬉しかったです。ありがとうございます。
「ブログを読んで来ました♪」と言ってくださったお客様もいらっしゃいました。どの回を読んで来てくださったのかしら…。女子プロレスの話なら、いつでも大歓迎ですよ~😚
と言いつつ、今日は別の話。
最近ポッドキャストで耳にした話が、ずばり心にジャストミートしてしまって…。
またまたハムソーとは直接関係しませんが、徒然に最近の内省を言葉にしてみたいと思います。共感を持ってもらえる方がいらっしゃれば嬉しいな。
それは仏教に関する話でした。
「奪い合えば足りず、分け合えば足りる」というお釈迦様の教えを聞いたことはありますか?
2011年の東日本大震災の発生直後、物資の買い占めが起こった際に「うばい合えば足らぬ、わけ合えばあまる」という相田みつをさんの詩が注目されたそうです。
私は今の今までこの言葉を知らなかったのですが、「人間だもの」で有名な相田みつをさんの創作の根底には仏教思想があったそうです。
さてポッドキャストでは、僧侶たちが行う托鉢についてのあるエピソードが取り上げられていました。
托鉢は修行の一環ですが、お坊さんたちが生きるために必要な食料や物資を信者たちに乞い、信者たちはそうしたものを寄付をすることで功徳を積む機会を得るというものだそうです。
托鉢に出たお釈迦様と弟子の僧侶たち一行が分かれ道にたどり着きました。右に行けば豊かな人々が住む村に、左に行けば貧しい人々が住む村に行き着きます。お釈迦様は迷わず左に歩を進めました。貧者たちの村に到着した一行を見て、村人たちは「一体何しに来たんだ??」という態度を取ります。自分たちは貧しく、カビの生えた米粒一つだって差し出せるものはない、来た道を戻って金持ちの村に行けばいい、と言います。
そんな村人たちにお釈迦様は、それでもきっと何かしら出せるものがあるはずだ、何でもいいから探してきてください、と言います。聖者が言うことですから、半信半疑ながらも各人家に戻り、めいめいなにがしかを持ってきたそうです。彼らの持ってきたものはとんでもないものが多かったそうですが、集まればそれなりの量。それを見てお釈迦様はこう言いました。
「皆さんはこんなにも差し出せるものを持っているではないですか。そんな人たちが貧しいわけがない、皆さんは豊かなんですよ。」
それを聞いた村人たちは、初めて自分たちにはまだ余剰があるんだと悟ることができ、その後そうした余剰を元手に工夫をしたり商売を始めたりして、貧乏から脱することができた…、という物語です。
この話からはいろんな視点で思考を巡らせることができるかと思いますが、私が一番共感したことは「分け合うことで自らの豊かさを実感できる」という点でした。
開店後2・3年経って少し気持ちにも余裕が出てきた頃、仙台市内にフードバンクの拠点ができたことを知り物資の寄付を始めたことがありました。頻繁にはできませんでしたが、インスタント食品や調味料など常温で日持ちがするものを購入してはフードバンクに持っていくことが何度か続きました。
そんな中で「こども食堂」の存在を知りました。私たちも子を持つ親の身として、子どもの美味しいの笑顔が何よりも尊く、私たちを幸せな気持ちにしてくれるものだと知っています。こども食堂を利用する子どもたちのバックグラウンドはさまざまだと思いますが、アインベルクのソーセージを食べた子どもたちが「こんなに美味しいソーセージは初めて!」と笑顔になってくれたらどんなに幸せでしょう。作り手として、人の親として、店主にとってはきっと至上の喜びですし、ささやかですが社会貢献をしていると思えることでアインベルクという店の存在意義に自信を持つことができます。
これまで寄付をしていたフードバンクではハムソーなど生鮮食品の寄付は管理上の理由で受け付けていませんでした。かといって各地にあるこども食堂に直接ソーセージを配るほど潤沢に寄付できるわけでもありません。
あれこれ思い悩みいろいろと調べていた店主が見つけてきたのが、仙台の隣・富谷市に拠点を置く「ふうどばんく東北 AGAIN(あがいん)」という団体でした。この団体は冷蔵品を管理できる倉庫を持っており、支援団体/個人から集まってきた食料品を県内のこども食堂に分配する事業を行っています。
少しですがソーセージをこども食堂に定期的に寄付したいと問い合わせると、すぐに快く対応してくださいました。どんなに少量であってもありがたいと言ってくださり、近くに住んでいらっしゃるボランティアスタッフの方が毎月引き取りに来てくださることが決まりました。
そうして、ポークウィンナーを100本、毎月団体に寄付することを始めたのが2023年12月。先月で17回目の寄付を無事に済ませました。
ウィンナー100本、ささやかな数かとは思います。でも作り手が一人なので大量生産ができないこと、決して売り物にならないものを集めているわけではなく、店頭販売できるクオリティのものを揃えていること、何より定期的に継続していくために無理のない範囲で提供したい、ということでこの量にしています。
子どもたちにおなか一杯食べてもらう、というわけにはいきませんが、イベントで食べてくれている子どもたちの笑顔の写真を送っていただき、私たちの心が一杯になりました。そして豊かな気持ちにさせてもらえました。私たちには幸せをお裾分けできる力がある、そう思えることがこれからも頑張って店を続けていきたいという活力になっています。
これまで、こうした寄付をしているということを公にはしていませんでした。アピールするほどの規模ではないですし、単なる自己満足でしょ、という批判を不用意に浴びることを避けたいとも思っていました。
ただ先日偶然聞いたポッドキャストでのエピソードが背中を押してくれたようで嬉しかったのです。
私だって欲しいものはたくさんあります。なんなら店主は結構物欲強めです(笑)
でも、きりがないですよね。全部手に入れるまでは自分が満たされていないって考えたら、自分の生活や人生が豊かだとは永遠に思えないように感じます。
そうではなく、自分の中の少しのものでも手放し他者に渡すことで自分の豊かさを実感できる。物欲強めの店主でさえ、この道を選び、毎月黙々とソーセージを作っています。きっとそれができるという事実が自分を支えているのではないでしょうか。私はそんな店主を100%肯定して応援しています。
話が長くなってしまいました…。
仏教については無知に等しい私ですので、説明に変な箇所があっても何卒ご容赦いただければと思います。
そういえば、「情けは人の為ならず」という教えもありますね。
人に親切にすればその人のためになるだけでなく、いずれ良い報いとなって自分に返ってくる。
これと併せて「奪い合えば足りず、分け合えば足りる」を実践していけば、笑顔で暮らせる人が増えそうではないですか?!
互いを信頼して分け合える社会が広がればいいですね。
そういえば今日はこどもの日でした。子どもたちの明るい未来のために、ささやかですがアインベルクもお役に立ちたいと願っています。