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誰かにとって、特別な店であれたら

 

先日ご来店くださった常連のお客さま。お会計をしていた時に、「この前サラメシを見てたら、アインベルクさんと同じようなお店が出てきてね…」と話してくださいました。

 

「働く大人は腹が減る!」でお馴染みのNHKの人気番組『サラメシ』 

私も以前サラリーマンをしていた頃(地上波が見られるテレビが家にあった頃)、よく見ていた番組です。

 

11月9日放送のサラメシに登場していた東京のソーセージ屋さん...... お客様の話は続きます。

「映画監督の崔洋一さんが生前よくランチに通っていたと紹介されていてね、ショーケースの雰囲気とか、すごくアインベルクさんに似ていてねー。それで、仙台にも同じようないいお店があるぞって思って、なんだか嬉しくなったんですよ。」

なんて、私たちの方が嬉しくなるようなお言葉をいただきました。

 

そのお店『ファインシュメッカー サイトウ』は、店主の修行先の兄弟子が世田谷区桜新町で営むハムソー屋です。すでに開店から10年以上経つ大先輩のお店。店主サイトウさんは、本場ドイツでの就労経験もあり料理も作れるシェフ兼ソーセージ職人。サイトウさんのお店では樽生ドイツビールとともに店内でハムやソーセージを味わうことができるとっても素敵なお店です。

 

「最初は単にビールとソーセージが好きなおじさん… という印象でしたね」とサイトウさんが語る崔監督。お一人でお昼時にご来店され、決まってドイツビールとソーセージの盛り合わせプレートを頼んでいたそうです。その後、サイトウさんは偶然見たテレビで、この男性が著名な映画監督だと知ったようです。

 

「誰かにとって、特別なお店」

 

サイトウさんが作る味と空間を安らぎの場所として大切にしていらっしゃた故崔監督。最後にサイトウさんが見かけたのは、亡くなる一週間ほど前に車いすで店前を通り過ぎた崔氏が、「がんばれよ!」と言わんばかりに片手を挙げて合図をしてくれた姿だったようです。

 

店主の実家で録画してくれていた『サラメシ』を店主と見て二人、ジーンとしてしまいました。

誰かにとって、大切なものを提供するお店。

 

兄弟弟子とはいえ、サイトウさんのお店とアインベルクは、その個性の点で違いがあります。

同じ修行先の味を受け継いでいるとはいえ、それまでのバックグラウンドや持って生まれた感性が、それぞれの店の特徴を形作っています。

 

店主が作るアインベルクならではの味、店主と私とスタッフとお客様で作るお店の雰囲気。

アインベルクが誰かにとって、ちょっと特別な、大切なお店であれたらな… と願わずにはいられません。

 

さて、もう師走がすぐそこまで迫ってきています。

サイトウさんのお店も、テレビ放送の影響もあって、この繁忙期はめちゃくちゃ忙しいのではないかと思います。

我らがアインベルクの店主も、日々製造に余念がありません。職人はストイックさを自ら受け入れてそのプレッシャーに耐えられる精神がないと難しい職業なんだろうな… と店主を見ていて思います。

 

ありがたいハムソー屋年一番の繁忙期、お歳暮シーズンが始まります。

アインベルクの味を大切な方に贈りたい、とご注文いただく皆さまにとって、私たちは「ちょっと特別な店」になっているのかな…。

 

なんて感傷に浸る余裕はまったくありませんが、皆さまのご期待に精一杯応えられるように店主ともども力を出し切って今年を終えたいと思います。残りあと1か月強、体調を崩さないように頑張ります!