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悩ましいです…

 

先週1週間は、いよいよ本格的な夏が来た!と感じる暑さが続きました。

昨日の仙台は最高気温が35℃に達したようです。皆さま、ご無事でしょうか。

 

この暑さの中、店主は早起きをして竹を取りに行きました。今週末から「仙台七夕まつり」が始まります。

地元上杉商店会では、上杉1丁目から2丁目のメインストリート沿いに豪華な笹飾りを立てて七夕を迎えます。

お昼ごろに竹取りから帰ってきた店主。熱中症にならなくて何よりです。本当にご苦労さまです。

 

そんな商店会の仕事をしつつも、本業アインベルクの職人としての仕事もタケノコのようにニョキニョキ…

待ったなしです。

 

この週末に店主と話し合ったのですが、特に“フライッシュケーゼ (ブロック)” の引き合いが多く、製造が追いつかない状況になってしまったため、フライッシュケーゼの一般店頭販売や、フライッシュケーゼが入る "ギフトセット A~D" の販売を当面中止することに決めました。 

 

フライッシュケーゼ、本当に美味しいのです。手前味噌ですが、食べる度に「この味わいはなかなか他にはないよな~」 と思います。娘が4歳くらいのときに「フライッシュケーゼ」 という言葉をいち早く覚えてしまったことも頷けます。

 

店主曰く、フライッシュケーゼは元来、肉屋が余った肉を無駄にしないように、ソーセージの余り生地などを全部混ぜ合わせて型に入れてオーブン焼きにしたものだそうです。ですから、作る度にどんな内容になるかは違っていたようです。

 

もちろん、アインベルクで商品として通年販売するからには、いつも余った生地だけ寄せ集めて作っています~ という訳にはいきません。きちんと確定されたレシピを元にフライッシュケーゼのためにお肉やスパイスを用意して作っています。

 

こう考えると、元来のフライッシュケーゼに比べたら高いクオリティを常に維持した仕上がりになっていて、その美味しさにも納得できるところです。

 

でも…、ここがハムソー職人にとって悩ましいところのようです。

 

アインベルクでは基本的に豚を一頭買いします。バラやロースなどのパーツ買いより、圧倒的にコストを抑えられるからです。

 

仕入れた豚肉を余すことなく美味しく食べられる状態にすることこそ職人の仕事です。豚肉のいろいろなパーツを使って、ソーセージが作られ、ハムが作られるのです。アインベルクのショーケースを見て、「こんなに種類があるんだ!」と驚かれる方がいらっしゃいますが、豚一頭の命を無駄なくいただくということは、こういう品揃えになる、ということなのかもしれません。

 

そうした背景の中で、特に人気があるからといってフライッシュケーゼばかりを作ることはできません。そうするとバランスが悪く、せっかく仕入れた肉を無駄に余らせてしまうことになるからです。

 

常に需要に応えらたらな~ とは思うところではあります。「欲しい!」とおっしゃっていただくお客さまに、欲しいものを限りなく提供できたらなぁ… と思うことしばしばですが、いずれ限界がくることです。

 

そうした議論をひとしきり店主と持ちまして、大体お盆あたりまでを目安に、定番ギフトセットとフライッシュケーゼの店頭販売を一時的に中止することにしました。苦渋の決断ですが、無理して受注をし、そのノルマを達成しようとして無理な製造をしても、到底私たちが目指すクオリティを維持することはできないと考えました。

 

実際に商品を作らない私は結構ドライです。「無理しないでおこうよ」と常日頃言います。

 

でも、作り手としてのプライドと意地がある店主は違います。どうしたらやれるか、どうしたらお客さまに喜んでいただけるか、常に頭を働かせています。そんな店主の職人魂をできるだけ尊重したいけど…。こんな話は職場だけに留めたいのですが、実際には遅い夕食の席でのメインテーマに常に上がってきます。

 

悩ましいです。でもその時々で最善だと思う決断をして、最善の対応を取ることが、お客さまにとっても最善の結果になると信じて、日々営業を続けていくしかありません。

 

休日返上で作り続ける店主が、今日の夕方、あるネットニュースを転送してくれました。

今夜20時過ぎ、国際宇宙ステーション (ISS) が日本上空を飛ぶのが見えるというのです。

 

これはベランダに出るしかない!

 

鶏の唐揚げと野菜のグリルを大量に作り、ギリギリに帰ってきた店主がビールの栓を開けて、家族3人ベランダに出たのが20時9分。

予想では、20時13分には仙台上空南西の空を一際明るいISSが駆け抜けるとのことでした。

 

白い雲が南西の空の7割ほどを占め、今日は見えないのだな……と諦めかけた20時15分頃、娘が「あ!いた!!」と叫び声を上げました。

 

雲の切れ間から、飛行機の点滅とは全然違う力強い光を放った物体が、北から南へとなめらかに飛んでいきました。思わず3人で手を振りました。あの速度で飛ぶ物体の中に人がいるなんて、すごい…!

 

娘は早速、夏休みの絵日記の一幕に今夜の様子を描きました。

 

明日から8月の営業が始まります。

  

幸い、私たちの状況をきちんと理解して協力してくださるスタッフに恵まれています。娘もまだ小さいながら、私たちの仕事を理解してくれているようです。

みんなで力を合わせて、いつもに劣らず質の高い商品とサービスを提供していきたいと思っています。

 

これからもどうぞよろしくお願いいたします。